金メダルを噛む理由

ソフトボール日本代表の後藤希友選手が名古屋の河村たかし市長を表敬訪問した際、後藤選手に金メダルをかけてもらった市長がいきなりメダルに噛みついたという報道があった。本当に噛んだらしい。
なんとも失礼な奇行だが、河村市長はどうして金メダルを獲得した選手がメダルを噛む真似をして写真に写るのかを知らないものと見た。
金メダルを噛むのは、金貨が流通していた時代にそれが偽物かどうか確かめるために噛む習慣があったからだと思われる。純金に近い高品位の金貨であれば、金は柔らかいので噛めばへこみがつく。銅などに金メッキをした偽物なら噛んだくらいでは傷はつかない。実際は金貨を噛むのはよほどのことで、もしみんな噛んでいたら金貨は世の中に出た途端に傷だらけになってしまう。だから「噛む習慣」とまで言っていいものかどうか。
金メダルだって「これって本当に金メダルなのか」と噛む真似をするだけのことで、本当に噛むわけではないだろう。せっかく獲得したメダルにわざわざ傷をつけたい人はいない。
実際は金メダルは銅メダルに金メッキを施しただけのものなので、噛んでもへこむわけではない。だからあれは本当に象徴的な行動だ。前回のリオ五輪では銅メダルを噛んでいる選手の写真も見たが、ますます訳が分からない。噛むのは選手の自由だが。
金貨を噛んで本物かどうか確かめる話は昔、ネスビット(イギリスの児童文学者)の”Five children and it”(邦題「砂の妖精」)で見た。ディケンズなど19世紀の作家の作品でも出てくるかもしれないが、不幸にしてそちら方面には詳しくないので、もしご存じの人がいたら教えてください。

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カテゴリー: 雑文

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