半年以上ブログをお休みしてしまった。病気でもしているのではないかと心配してくださった方もいるかもしれない。別にそんなことは全くないので、(もう再開してしまったが、)これから何事もなかったような顔をして再開することにします。
書くネタに困っていたわけではない。むしろ日々書きたいことは見つかったのだが、文章化するのになぜか抵抗を感じていた。これも老化現象の一つかもしれないとちょっと恐怖を感じていたくらい。
今一番気になっているのはアメリカの大統領である。ウクライナを巡る言動もさることながら、ガザの人たちに対する物言いの残酷なこと。文化や学問に対する敬意のなさ、LGBTに対する敵意、異文化に対する無理解。どうしてこんな人が地球の運命を決定するような地位にいるのだろうか。
去年の11月に我が家に来てくれたハンガリーからの教え子(と言っても今やもう50代半ば)が彼の地の現況を教えてくれた。首相のオルバン(「オルバーン」がより原音に近い)がミニトランプのような人でインテリを敵視している。教え子の友達は次々に国外に出て行った。ところが首相の信奉者もいて、そうでない人たちと分断が生まれている。教え子も友人達と同じく国外で暮らすことを本気で考えていて、そのために新たな言語を学習しているとのことだった。
まさにアメリカで起きているのと同じことが起きている。日本でも兵庫県知事を巡って支持者と反対派の間に分断が生じているのだから世界的な現象なのかも知れない。一言で言えばいやな世の中になったものだ。
ところで私が常日頃ユニークな視点に感銘を受けているエマニュエル・トッド氏が文藝春秋7月号でオルバン首相のことをほめているのを見て、ちょっとした違和感を感じた。いわく「イギリスやドイツの首相と比べてずっと教養人であり、読書家である」。本当の教養人が大衆迎合的な政策を行ったり、インテリを迫害するようなことをしたりするのだろうか。
話をトランプに戻すと彼が大統領就任後矢継ぎ早に打ち出してきた奇妙な政策の数々がどこから出てくるのか不思議だったのだが、あるときにテレビ芸人の所業と気がついて得心がいった。テレビ芸人だからひたすらウケを狙う。ウケることが第一でそのために傷ついたり、命を失ったりする人がいても全然気にしない。政策の合理性なんてくそ食らえ。
今朝もトランプが命令を下してイランを攻撃したというニュースが流れたが、こんなことをしたら報復が報復を呼んで事態がエスカレートしてしまう。第三次世界大戦に発展する可能性だってあり得る。そこまで行かなくても決断の軽い大統領が核の使用をしたら恐ろしいことになる。
人類が80年間自制して守ってきたタブーが破れたら、世界中で核爆弾が飛び交う事態になってしまう。そうならないことを祈るのみだ。大統領になってしまったテレビ芸人は何をするか分からないから本当に恐ろしい。
アメリカはイランを打ち負かすことはできないだろう。イランは生存を懸けて戦うが、アメリカはそうではない。必死で戦うものは強い。この戦争が長引けばアメリカは消耗するだろう。「アメリカを再び偉大に」と言うが、それと反対のことをやったあげく最大の愚策が開戦だ。