島の百均

 いつの間にか百円ショップいわゆる百均ができていた。島暮らしを始めてみるとこれが結構役に立つ。
 借りた家には食器棚があり、どれでも好きな食器を使っていいと言われていたが、なぜかカレーを盛るのにちょうどいい皿がない。深めの皿があれば、カレーだけでなく煮物にも使える。カレー皿にこだわるのは、夕食にカレーを少なからず登場させる予定だったからだ。
 毎朝必ずいれるコーヒーのための大きめのコーヒーカップもなかった。
 そこで百均に行くと、なかなかしっかりしたデザインの磁器のカレー皿があった。これでも100円なのだ。百均はたまに掘り出し物があるのが楽しい。コーヒーカップはプラスチックのものを買って我慢することにした。
 瀬戸物屋さんがあればそこで買いたかったが、天城町は商業が壊滅的な状態で、天城町で一番繁栄していたはずの平土野の商店街の店はつぶれていたり、開店休業だったりする。島で一番にぎやかなのは徳之島町の亀津という町だが、そこでも物によっては売っている店がない。
 40年前に比べて人口が半減した結果、いろいろな社会インフラが維持できなくなってしまったということなのだろう。そこで百均が出てきた(徳之島には2店ある)のは歴史の必然かもしれない。百均というのはデパートと同じで行けば生活に必要な物はそこに何でもある。デパートと違うのは商品の質だが、それでも最低限の質は保証されている。何か足りないときにそこに行けばほとんど必ず用が足りるのだ。 というわけで、4ヶ月の滞在の間、私は百均で5000円を消費することになったのだった。

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